今日の読売新聞の記事に「格差社会は拡大している」というものがありました。
格差社会に関するいくつかのアンケート調査をまとめたものです。
ウェブでも全文ではないですが閲覧できるようです。
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06031402.cfm
部分的に引用すると
「所得などの格差が広がっていると思う人は、計81%に達した。」
「今の日本は、努力をすれば格差を克服できる社会かどうかについても、克服できるとは「思わない」人が計59%」
格差というとその方向は二種類しかありません。
所得の格差が広がっているというのが真実であれば
より貧乏な人が増え,お金持ちの人が増えたと言って間違いないはずです。
更に,努力をしても格差を克服できない社会であるとしたら
10年前の貧乏人が一般(=平均的所得)人やお金持ちになるのは不可能だし,
一般人がお金持ちになることは不可能だということになります。
つまり,階級分けをしたときに各階級間でこんな移動が考えられるわけですね。
・貧乏人が超貧乏になる
・一般人が貧乏人になる
・お金持ちが超お金持ちになる
具体的なデータに基づいて検証してみましょう。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/
厚生労働省の「平成16年国民生活基礎調査の概況」です。
まずは所得平均の推移を見てみましょう。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/2-1.html
確かに明らかな減少傾向を示しています。
小泉内閣は平成13年ですが,その前後で明らかな変化は見られません。
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.htm
また,非常に穏やかにですが消費者物価指数も減少傾向を示しています。
http://www.pref.nagasaki.jp/toukei/nen_geppou/nen/shouhishabukka/syouhi_suii/syouhi_suii1.html
「家具・家事用品の項目」から100均の効果も確かめられます。
では次に各階級間の移動を見てみましょう。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/2-2.html
五分位階級別の所得の状況
これは全世帯を所得順に並べて,5等分にしたものです。
つまり各階級に所属する世帯数は全て等しいことになります。
人口の増減はあるにせよ,全世帯数はそこまで大きく変化していないはずですから同様にして各階級の世帯数もほぼ同様であるはずです。
日本全体の世帯数がいくつかはわかりませんが仮に3000万としましょう。(各階級の世帯数は600万)
第1階級は最下位~600万番目の世帯,第2階級は600万番目~1200万番目の世帯,第3階級は1200万~1800万番目,第4階級は1800万~2400万番目,第5階級は2400万~3000万番目。
ところが13年度~15年度で比較すると第1~第4階級ではほとんど変化がありません。
大きく変化したのは第5階級のみです。
つまり大雑把に言うと社会の上位20%を構成する世帯の所得が減少した結果として平均所得が減少したと見ることができるのです。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/2-1.html
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa03/2-1.html
この二つのページの最下部のグラフを見てください。
15年度で1000万円以上の所得の割合を足し算すると14.6%(1500万円以上は4.3%)
16年度では14.2%(同上2.7%)であり,確かに最上位層ほどその割合が減少していることが分かります。
以上より
「格差が広がっているとはいえないこと」,「上位層ほど過酷な状況にあること」が確認されました。
アンケート結果にあるような意識が根拠のないものであると言えます。