君の頭の鋭さは人が感心しうるほどのものではない。
よろしい。
しかし「私は生まれつきそんな才能を持ち合わせていない」と君が言うわけには行かないものがほかに沢山ある。
それを発揮せよ、なぜならそれはみな君次第なのだから、たとえば誠実、親切、自由、単純、まじめ、高邁な精神。
今すでに君がどれだけ沢山の得を発揮しうるかを自覚しないのか。
こういう徳に関しては生まれつきそういう能力を持っていないとか、
適していないとか言い逃れするわけにはいかないのだ。
それなのに君はなお自ら甘んじて低いところの留まっているのか。
それとも君は生まれつき能力がないためにぶつぶついったり、けちけちしたり、
おべっかを言ったり、自分の体に当り散らしたり、人に取り入ったり、
ほらを吹いたり、そんなにも心を乱さねばならないのか。
否、神々に誓って否。
とうの昔にこういう悪い癖から足を洗ってしまうことができたはずなのだ。
しかれるとすれば、ただのろまで分かりが鈍いということだけ言われるので済んだはずなのだ。
しかもこの点についてもなお修養すべきであって、この魯鈍さを無視したり楽しんだりしてはならない。