December 10, 2004

死すべき運命

昔の人たちの言を拝借すれば、人間とは即ち死すべき運命にあるものであった。
自分への自戒であったのか、または現実主義者のトートロジーであったのか。
どんな意味をこめてそう呼んでいたのかは今となっては分かりません。
ただ、mortalという言葉は形容詞では"死すべき"であり、
名詞であれば"人間"であったという事実だけが残っています。
トールキンの世界では繰り返し、人間を指して"mortal men"と書かれているので
映画を見た人なら知っているかもしれませんが。

さて、そんなことは本当はどうでもよくて、つまるところ、
家に帰ったら猫が死んでいたのです。
生まれて始めて動物界 - 脊椎動物門 - 脊椎動物亜門 - 哺乳綱の死体を目の前で見て触りました。
どうしても、昨日まで普通に生きていた"あの猫"と同じようには思えません。
まるでスーパーに並んでいる獣肉のようにコチンカチンで、
だけど唇も肉球も鼻も綺麗なピンクを残していて。
わけのわからない混乱に陥ってしまいます。
人間が土葬や火葬を始めた理由の一つは自分の死への恐怖の反射であると考えています。
そういうことなのでしょうか。
まったくもってわけがわかりません。

特段に猫を好きであったわけでもなく、飼いはじめてまだ満2ヶ月足らず。
それでもこんなちっぽけな命の終わりにとても"嫌な気分"がします。
冬もまだこれからなのに滅入ってしまいそう。

我輩は猫である。名前はまだ無い。
嘘です。
名前が猫。
死んでる猫に、「猫、猫」と話しかける自分はこれ以上ないほどに滑稽でした。
死に逝く猫1匹にきちんと名前も用意できなかったのか、と。
写真一枚すら残っていないこの猫を唯一覚えている自分の責務として
この猫のアイデンティティは守りたいなと、そう思っています。

#死因は恐らく、病気だと思われます。
#他の兄弟たちもとっくに、といっても生後一ヶ月ほどで死んでいったし
#特徴的にくしゃみを繰り返していたので同じ病気であったのではないかと。
#朝、行く前にどうにも体の重そうな猫を見て不安になっていただけに悔やまれます。

Posted by Samourai | Comments(0) | TrackBack (0)